札幌から帰る夜汽車の中で若い母親が誕生日前の赤ちゃんを抱いて乗ってきた。赤ちゃんが泣いて他の客に迷惑をかけないよう母親は少しでもぐずると必死にあやしている。やがて、二人とも寝入ってしまった。
     母子眠る夜汽車吹雪の野に迎ふ    未曉
  冬の落日は色が薄い。そうさせている薄雲から予兆もなしに雪が吹き付けてくる。
     薄き日の溺れゆく口雪を吹く     未曉