四姑娘山…「双橋溝」(1)

takasare2006-07-15

 日隆(リーロン)の西の谷を双橋溝と言い国定公園のようになっている。その中は、専用のバスに専用の運転手でなければ入られない。
 二日目はその35キロの谷の一部を高度順化を兼ねて歩くことになっている。もとより歩くことに多少の自負を持っている我々は、ハイキングと言う言葉にあかちゃんくっさも感じていたので「今日は歩くぞ」とばかり、登山靴を履き、着替えや雨具、水も多めに準備してホテルを出てきていた。
 公園の中にもチベット族の住民はいる。バスの運転手はここの人らしく上手に、村の人たちが道端に布で日よけを作っただけの露店の前で休憩する。日月宝鏡山という頂上に大きな鏡のような斜面を持った嶺が見え、そのあまりの見事さにツァー全員が声を上げ写真を撮りたいと叫んだときには停めてはくれなかった。
 最奥の四方を山に囲まれた円形劇場のような所は、リーダーの植田さんによるとカナディアンロッキーの景色と言うことである。高い嶺から一気に流れ落ちるかのような山肌。垂直にそびえる岩崖。切り取られた鋼のような斜面を滑るように流れる滝。裾を彩り垂直に立つ紅杉の林…。
私たちは水量の多い川に石を入れて渡渉しこの谷突き当りの斜面を登った。急がずゆっくりと。アツモリソウを見るためである。低い所には無かったが、20m喰らい登った所にたくさん咲いていた。つい一月前大千軒岳でたった一輪見つけたあつもりそうに比べると、色の繊細さは乏しいが、大きくたくましいアツモリソウだった。越田さんはスケッチ、坂口さんは広く歩き、工藤さん山谷さんはカメラによる花採集に忙しい。他の人たちもそれぞれ花の中で憩っている。私はそれらを写真に収めている。タルチョはためきストゥーパが立ち、カナディアンロッキーではない
双橋溝の大きな景色の中に身を委ねていた。