恵山岬灯台の初日の出

  恵山灯台の初日の出
 朝6時、目覚まし音で目覚める。昨日分けてもらった痛み止めが効いているのか腰の痛みが少ない。これなら大丈夫のように思えて起きた。SU、NAさん、MIが起きて来た。娘のAYUはまだ寝てるらしい。起こすのが可哀想になり、まず、空の様子を見ようと外に出た。上空は晴れているようだけれど、見える限りの北東の空は曇っている。冬の水平線上の雲は厚い。今年の初日の出は無理だろうと諦めた。みんなは、さんぽに気持ちを切り替えたのか歩き出した。私も腰のためにも少しいいだろうと歩き出してしまった。
 岬へ登る舗装路は乾いていて歩きやすい。購入したばかりのスノーシューズも歩きやすい。段丘上への巻道を一気に登ってしまった。20分程で着いた恵山灯台公園は雪に沈んでいたが、ふみ後があり木製の展望台まで行くことができた。東の空は明るくなっていた。娘を起こさなかったことを後悔し始めていた。南東の水平線も雲が乗っていたが低かった。待っていれば見られるかも…という感じだった。寒い中20分も待っていたろうか。時間に合わせて車で来た人が駐車場から詣でようとしている。その中の一団が展望台に向かって来た。お父さんと子ども達で中の1人が弓を持っていた。弓道の中に、初日に向かって弓を射る法でもあるのだろうか。Gパン姿の高校生くらいの女の子が準備を始めた。初日の出を拝むぞと言った時に「私も」と言い、「起こして」と言った娘に、今年にかける決意のようなものがあったのかもしれない。とすればそれを、つまらない同情心から連れてこなかったことが悔やまれた。やがて雲の峰が金色に輝き、形のはっきりしない太陽が昇って来た。高校生の矢は太陽に向かって飛ぶと言うより、展望台の下の雑木の茂みを越えて海へ落ちて行った。
 帰りは寒さもあったし、脚も調子よかったし、なんとなく急いで歩いてしまった。娘の怒っている顔を思い浮かべ、新年早々の自分の考えの甘さを悔いながら。
 後ろを振り返ると、太陽は正月の思いをどこにも感じさせず素っ気無く高く昇ってしまっていた。