「東京一茶庵年越し蕎麦」

   東京一茶庵 年越し蕎麦
 正月帰省する長女が買って来てくれる。蕎麦聖と言われる片倉さんの息子さんが東京九段に開いている一茶庵東京店の蕎麦である。勤めていた会社のすぐ近くにあり、「早く食べてね」と言われながら買って来てくれる蕎麦である。30日に函館に着いたが、その晩は、小料理屋を予約していたので31日の朝に食べた。一茶庵には叱られるような食べ方だけれども仕方ない。
 我が家でいちばん大きな鍋に湯を湧かした。それでも二人前ずつしか茹でられない。黒い持ち帰り用の箱を開けると、じっとりとした感じで底にねばりつくようになっている。二日も経っているから打立ての軽い感じはない。仕方がない。火力も気になるがこれも仕方ない。実際に口に入れながら茹で具合を計り、蕎麦の味が残っているうちに上げた。唯一水の冷たさだけは合格だろう。大皿にひとつまみずつ盛り込んだ。  
 「腐っても鯛」ならぬ「伸びても一茶庵の蕎麦」である。少しもたっとして舌触りが良くないが
香りが少し残っているし、たれの美味しさで十分楽しめる。去年店に行った時は、かけ蕎麦がなくて、しっぽくそばなるものを食べてしまった。今度は、必ずもり蕎麦を食べる。娘の気持ちと私の茹で具合でどれだけ店の味に近付けているか確かめてみたい