「吉粋」深堀町

 国立病院の向かいにある。2年前くらいの開店直後に行ったが、あまり落ち着いた感じが無かったので印象が薄い。もり、かけがなく、ざる、たぬきからメニューが始まっていた。
 今回訪れてもそれは変わらなかった。ざる(650円)を頼んだ。ざる蕎麦は、もり蕎麦に海苔をかけただけで値段を高くするためのテクニックのような気がして好きではない。蕎麦に海苔は不要でもある。本当のざる蕎麦は、たれもちがうという話を聞いたことはあるが、ほとんどの店が特別なたれにはしていないと思う。この店のように、もり蕎麦がメニューに無いと比べようもないが…。店先の舌代には、「そば粉と水以外使っていない蕎麦、化学調味料を一切使っていないたれ」と書いてあった。その蕎麦にはさらしな蕎麦と田舎蕎麦があり、値段も違っていた。私が頼んだのは田舎蕎麦である。
 出された蕎麦は、少し厚めののしを細く切った平たい感じの田舎蕎麦である。円い蒸籠にもられ、水で濡れている。何本か口に啜り込む。田舎蕎麦特有の歯ごたえがあるが、香りや味が今一つ薄い。甘めのたれをつけて食べても、もの足りなさは最後まで続いた。美味しくないわけではないが歯ごたえだけで食べている感じがした。わさびがよく、そのときは蕎麦が甘く感じられた。蕎麦湯もお湯のようでもの足りなかった。