「仁山」

takasare2005-09-16

 スキー場である。ゲレンデは何度も滑ったし冬の仁山はなじみがあるけれど、夏の仁山は行ったことがない。木地挽高原の遠足のとき第三リフトを上から眺めたくらいである。
 朝9時半家を出発。9時50分スキーのときの駐車スペースに停めた。探すまもなく、一本の作業道がファミリーゲレンデの方に伸びている。そういえば、古い山道コースがあったことを思い出しそこを登り始めた。
 風は涼しいが、日差しは暑い。熊の心配は無いと思いつつも、用心のためメロディーにもならない口笛を吹いて登った。ファミリーゲレンデの上部に出ると、ススキの向こうに駒ケ岳が秋空に美しい姿を見せた。ススキを被らせてパチリ(後で見たら失敗)足元には、外来種タンポポに混じって、ウメバチソウがかれんに咲いている。その他は秋のたたずまいである。30分で第二リフトの上。ボトルの水しかない。何か口に入れるものを持って来ればよかったが何も無い。早々に休憩を切り上げて第三リフトのある鞍部に向かって下りはじめた。ここでも咲いている花に変化は無い。見つけられないだけなのか…。
 ふと前を見ると、遠目に夫婦と見える一組が歩いている。きっとロングコースを登ってきたのだろう。邪魔をしたくないななどと余計なことを考えながら歩いていたらやがて二人は第三リフト裏の廃屋ロッジのほうへ左折した。向こうが私の邪魔をしたくないと思ったのかもしれない。作業道をそのまま辿ろうとしていたが、それならばと、ゲレンデの中央を登ることにした。野茨の棘にだけ注意すれば倒れている長い草はそれほど苦にならない。しかし、冬、あっという間の短いゲレンデだが、直登すれば結構きつい。花を写しながらつまり休みながら登った。木地挽高原の観音様にお目見えしようと思ったが、バラ線で阻まれた。仁山スキー場の最高点に着いたのが11時だった。しばらく写真を取ったり(写真)景色を眺めていた。下方鞍部のところにさっきの夫婦が背中を向けて歩いている。ここまできたら挨拶くらいと思っていたが、帰るようだ。
 私も下ることにした。鞍部までおり、ロングコースを下りることにして右折した。いつの間にか、4人乗りリフトの降り場におりてしまったが、そのままフリコを下ることにした。さすがフリコ沢、急斜面である。今日はき初めの軽トレッキングシューズの爪先が痛い。草丈も長く足場も悪いので、いやになってきた。ここもスキーで降りればあっという間なのに長く感じた。
 11時55分車のところで着替えていると、スキー場の主人らしき人が声をかけてくれた
「第三まで行ってきたの。けっこうあるっしょ」そう、私は結構歩いたんだと言う気持ちを
「ありがとうございました」と言う言葉に代えて車をスタートさせた。