植物研究会

 鳥海山に一緒に行ったKuさんたちがやっている植物研究会というサークルにおじゃました。Kuさんがそこで「鳥海山の花」の映写会をすると言うことで参加させてもらった。
 私とKuさんは山道では5mくらいしか離れていないはずだ。それなのに私の写していない花がたくさんある。アングルもシャッターチャンスもちがう。当たり前だ。学生時代から含め、40年以上も研究を続けてきた学究者と、昨日今日山の花に興味を持ち出した(それも花を写しながらだと、休み休み登れるから…などと言う不遜な)輩と一緒になろうはずも無い。被写体として意識するときにすでに彼らの頭の中には、地形的地理的環境とかの条件や環境から来る必然性、植物学的な体系での位置づけや関係、類似したものとの比較などが一瞬のうちにひらめき、レンズを向けることになるのだろう。
 私が花に着目できるのは、まず色である。と言うより色でしかない。時に、可憐だったり群れて咲いていたりするとき目をとめる。つまり私の美的感覚が刺激されたときだけである。自然科学的な側面からの興味が無いわけではないが、目に止まって花の名前を覚えてから後付けの知識として「面白い」のである。
 私は、Kuさんの説明する花名を、遮光幕が下りて暗くなった部屋で全部メモした。私の、マイピクチャーファイルの中で、名前を付けられないままでいる花の写真たちに名前をつけてあげようと思ってのことである。
 私は山道の花を学問的に楽しむのは無理である。せいぜい五七五の中にその美しさや時には地形地理、生活感などを込めて俳句にすることで楽しもうと思う。