山滴る

 妙心寺の前を通って函館八幡宮の境内へ入っていくと緑青を吹いた神社の屋根が大きく波打ち目に入った。そしてそれは函館山から傾れ落ちるような緑に埋もれそうでもある。緑の山、緑青で薄緑の屋根 碧血碑の下に眠る碧色の血を一句の中に詠もうとしたが句力及ばず、妥協の句が出来たときはもう時間切れ。いつものように惨憺たる吟行句会になってしまった。
     山滴る緑青深む社屋根   未曉