春愁

 私も母が癌で逝った年齢になった。前からその年には胃と大腸の検査をしようと思っていたので昨年夏に胃カメラを入れ、今年一月大腸の内視鏡検査を受けた。幸い胃の方は異常なしだったが、大腸の方は以前の検査で見つかっていたポリープが大きくなっていたので切除することになった。そして切り取ったポリープから癌が見つかり腹腔をCTで診て、深いところに残っていないか転移が無いかを調べることになった。それが昨日医師の「転移は診られません」という診断で安堵のうちに区切りが付いた。言うべくもない「絶対大丈夫です」のかわりに「半年後に念のための内視鏡検査しましょう」と医師には云われたが…。医師の転勤時期と言うこともあり、すごく混んでいて12時の予約で終わったのが午後二時近く、結果を聞いて診察室を出たら腹が空いているのに気づいた。少し遠かったが好きな蕎麦屋まで足を伸ばした。蕎麦を食べながら一連の検査を振り返った。母に感謝しなければならない。
    癌細胞に絶対は無し春愁   未曉