秋の声

 いつもの散歩コースを変えた。いつもは我が家から東側、桔梗町の住宅街から桔梗IC,新道側道、七飯大川の畑、そして国道5号線を左回りに巡る。歩道がしっかりついているところが多いのでゆったり歩ける。今日は我が家の西側、桔梗野の畑地帯から七飯中野の田圃の中を縫う農道をつなぎ、最終ニンニク沢川を東へさかのぼるように歩いた。初めてのところもあった。もうひとつ函館寄りのサイベ沢からこのあたりは土器が多く出土し、縄文時代集落があったとされている。
 一面の黄金田が広がり、ところどころの苅田もまだ黄金色を失わない稲株が整然と並んでいる。ニンニク沢川岸は静かだ。きっとこの高い秋空に音が抜けていくのだろう。その静けさを破る音がある。魚が跳ねる音。鮭が遡ってくるというからそれだろうか。そしてそれに驚いたか羽音を立てて今まで見えなかった鴨が上流へ飛び去る。さらに耳をすませば虫の声、遠くから稲刈り機のエンジン音が聞こえる。トンボの羽音、案山子の笑い声…は聞こえそうな見える音。遠くを走る車の走行音は見えるけど聞こえない音…それらのベース音としてあらためて川の瀬音に気付く。 
 少し歩いただけなのにそこには生きとし生けるものの秋が満ち溢れていた。
     縄文のムラ在りし此処秋の声   未曉