実浜茄子

 私のウォーキングコースの途中に桔梗ジャンクションがある。道央からの函館新道が、江差方向や函館の外環状線に振り分けられる立体交差地点である。できた当時は高架で大きな弧を描く近代的な景観がコンクリートアスファルトで形作られ、桔梗野に広がる畑とは植栽が堺した。道央からの入り口にふさわしかろうと函館市の花ハマナスの幼木が施された。
 全く手入れされない今は帯状の原野と化している。主役だったハマナスは鬱蒼たる草や灌木にその座を奪われて、花を咲かせても目立たない。歓迎の意も届きようがない。お役所仕事の典型である。
 周りの草や灌木が衰えてきたこの頃、浜茄子がようやく見えてきた。実である。こんなに花があったかなぁと思うくらいたくさんの実をつけている。これが食べられないなんて…。ほいど(食べることにいやしい)の典型である。
   食はすまじとばかりに朱色実ハマナス  未曉