カタクリ

 厚沢部に私たちが勝手に「花の谷」とよぶ沢がある。灌漑用にせき止められた水がその上部で湿地を作りそこがこの時期エゾノリュキンカや水芭蕉で覆われる。その沢を挟む斜面はエゾエンゴサクキクザキイチゲカタクリエンレイソウの小花がいろどる。
 先日大学時代の仲間と作っている飲み会の為の句会が「花の谷吟行」と洒落た。「イチリンソウって歳時記にねぇぞ」とか「エゾって付ければ字余りになるぅ」とか云っていたが「花の谷」に入ったら、小さな花に顔を寄せたり、高いところからエゾノリュウキンカの一面の群落を俯瞰したりで感激していた。
   カタクリは飛び立つごとし教師老ゆ   未曉
   春の水リュウキンカで咲きにけり    未曉
 私も小花たちの名前に負けてしまって字足らずである。