馬鈴薯

 土、日曜妻が知り合いの農家へ農作業の手伝いに行く。お金をもらうわけではないのでとれた野菜、主に商品にならない規格外の野菜をもらってくる。大きく凸凹だらけでこれぞジャガイモというメークインをたくさんもらってきた。これが美味い。何度目かの「芋の塩煮」昼食をした。
 ジャガイモで思い出すのは亡くなった兄である。高校時代自分の部活費用は自分で稼がなければならなかったから兄は夏休み芋掘りのアルバイトに行った。当時は機械の力も無く炎天下手掘りで掘り出し籠に入れ、馬車のところまで運ぶ繰り返しだという話だった。まず向こう端の見えない一畝を任せられるのだそうだ。途中で気を失いそうになるそうだ。そして昼は大鍋に余るほどの今自分たちが掘りあげたばかりの芋。
 それ以来兄はジャガイモを食べない人になった。
    一畝の果て今日の果て馬鈴薯(いも)を掘る   未曉