薄暑

 山からの帰り函館の街を通り抜けた。日吉町の交差点で半袖姿の中学生くらいの男の子が目の前の横断歩道を通った。友だちとの会話に夢中だ。山から降りて温泉に入ったきたせいもあり、車の中は長袖のシャツでは少し暑いが、窓を開けると吹き込む風は冷たく感じていた。ぐるっと見回したが半袖はその中学生だけである。
   乾く日や眩しき腕の薄暑の子   未曉