有珠山

 有珠の街に入ってすぐ国道を左折、高速自動車道をくぐるところに有珠登山者用の駐車場があった。すでに7台ほど停まっている。
 有珠山はいわゆる観光で、観光ルートから訪ねたことはあるが、噴火湾側からの登山としては初めての山になる。Kudさんは延齢草の山として楽しみらしい。案内板の所から遊歩道とかかれたコースを登り始める。明るい樹林の中の緩やかで優しい感じの道を辿る。クルマバソウが小さな花をつけている。エンレイソウも出現してきたが、お目当てのものではないらしい。次第に勾配がきつくなってきたようにも思うがいつものように花を撮りながらの登りなので感じない。夫婦連れが降りてきた。たくさんの独活を入れた大きな袋を提げている。山の挨拶に「ついつい採りすぎてしまった」と照れ隠しなのか自慢なのか元気な声を返して降りていった。
 
今日の目的のコジマエンレイソウが見つかり始めた。下で見えていたエンレイソウとは違い、色も明るく鮮やかで花びらもふっくらとした感じがする。だからといってそれだけで見分けられるほど容易でもないらしい。時折の山桜の美しさ、Kubが見つけてくれるタラの芽そんな小さな楽しみを繋いで昇っていく。
 急勾配が体に堪えるようになる辺りからいつのまにか撮影タイムが減り登りが続いていることに気付いた。Yamaさんが撮すものがなくなったのか先頭を歩いている。7月の旭岳に向けてがんばろうとするが今冬の怠けのせいで息苦しいし、脚がだるい。停まるのは癪なのでペースを落としでも歩き続けることにする。大きなジグになる。空が近い。外輪の稜線までもう少しだ…。
 稜線に立つ。前には荒涼たる爆裂大火口が落ち込み対面する火口壁を隠すように噴煙がゆっくり立ち上っている。振り返ればところどころに桜を配した有珠の山裾から街を越して噴火湾が弧を描いている。
 昼食後予定した稜線歩きを時間不足から断念、降りて有珠善光寺での時間を確保することになった。
 少し空に雲はその分気分良く歩けたし、見るべきものは見ることの出来た有珠登山となった。