大晦日

 妻の実家の冷えた細工場で年越し蕎麦の湯を沸かす。大きな鍋と、火力の強い業務用のコンロが有るのでいつもこの冷える中で蕎麦を茹でる。
 窓の外は夜の椴法華港である。岸壁を照らす外灯が寒々しいが家々の明かりがいつもと違って明るいのか海猫が遅くまで鳴いている。それも止んで静かな中に湯のたぎる音が聞こえ始めた。
  海猫の未練キオキオ大晦日   未曉