氷る道

 もちろん「つるつる路面」などと言う季語は無い。凍道と言っても寒々とした道の佇まいを言うのであって路面の状態を限定している表現ではない。北海道の生活に直結した言葉と言える。
 朝そのつるつる路面の広い道路をお年寄りが渡っている。すり足で少しずつ少しずつ歯科薦めない。それでも不安定に身体が揺れている。信号が青の点滅になっても渡りきれない。その信号を見る余裕さえない。他に歩く人もいないので助ける人もいない。車もスリップするような路面なのでどの車線の車も止まって見守っている。
   氷る道老人渡る町や待つ   未曉