先日登った毛無山の登山道に熊の爪痕を残す樹がある。高いところに絡んでいる山葡萄に届かぬ悲しみか、登ろうとするかのようにその痕は見える。今年また新しい爪痕が刻まれていた。高さから小熊のものと考えられる爪痕もあった。母熊の夢を託した訓練だろうか。
   空腹の爪痕深き羆の夜   未曉