siさんが引き払った跡地が二分割されその二軒目の家が出来上がって今日引っ越してきた。赤い瓦風の屋根に壁は黄土色の土壁風である。南欧(行ったことはない)風の家である。ここは桔梗町だから少々浮き上がった感じは否めない。しかし、その家の裏、つまり我が家の向いは空き地でそこには夏草が今を盛りと腰の高さまでに生い茂っていて、実はその南欧風に妙にマッチしているのである。こんな絵をどこかで見ているのかもしれない。昨日近所のTaさんが同じ事を言っていたので、決して私の独りよがりではないと思う。先に建っていたもう一軒は白い今時のデザインの家で、雑草が家をみすぼらしく見せていたのに比べると雑草に似合う家になっている。建て主は自分たちの好みや色々考えてのデザインだったろうが、雑草とのコラボレーションまで考えていたわけではないだろう。
 実は私の家は薄緑色で自分の好みでもなければ周囲にマッチさせようとしてこの色に決めたわけではない。新築時は私の好みでモスグリーンの壁に黒に近い緑の屋根の色だったが、我が家を建ててくれた会社が塗装と壁の補強を十年後のメンテナンスとしてやってくれた時、後の経済性を考えて今の色にした。
「黒っぽい色だと日に焼けやすく白く粉を吹いたようになってしまって見てくれが悪くなる。十年くらいで塗り直したくなるよ」と言われた事による。その頃中に入ってしまえば家の外観は見えるわけではないし、好みなんてどうでも良いだろうと思うようにもなっていた。十年目は無料だったがその後は自費になる。真っ白はイヤだったので緑を少し入れたら今の色になった。決して桔梗町にもマッチしていないと思っているが経済性を優先させた。外観にこだわるお金があったら内装に回した方が良いと言うのが誰か聞いてくれる人がいたら私のアドバイスである。
 雑草の空き地の地主は近くの人ではない。年に一度、シルバー人材センターに頼んで雑草を刈ってくれる。この雑草の種が飛んできたり、虫の発生に困っているTaさんの話だと、いつも6月末から7月の始めに刈られるそうである。後数日でこの巧まざるコラボレーションは終わる。住人にこの夏草越しの南欧風の自家を撮しておいた方が良いと思うが、伝えるほどのことでもないので止めておく。
   欧風の家建ち上がる夏の草    未曉