有志の者での延長麻雀に加わろうかとも思ったが、腰が痛いのと眠いので冷やかしにまわったがそれも続かず寝袋に入ってしまった。それでも5時前には目を覚ましてしまった。4,5人の鼾が聞こえる。のどの具合からすると私も鼾で迷惑をかけているはずだ。
 学生時代何度となくこんな朝を迎えたメンバーだが、それぞれが仕事に情熱を傾け、家庭を成して迎えた停年退職の新たな人生を歩みつつあることを思うと感慨深いものがある。そしてそれは自分に対する感慨でもある。飲んでさわげば45年前に簡単にもどってしまうが、45年間の積み重ねもまたそこには現れる。俳句などを飲み会の前に置く智恵、マイカーの連なり、料理や準備の手際の良さ、遊びスイッチの切れの良さ…。鼾だってそう考えればその人の一部だ。何人かはもう目を覚ましているのに起き出さない気遣いも歳の甲かもしれない、そういえばこんな時我慢できずに起きだしてうるさいやつが45年前にいた。私だ。
    鼾交ふロッジの窓の若葉かな   未曉。
 旅館をやっていたFの家で泊めて貰うことが多かった。朝帰ろうとすると、「泊まったら朝飯を食っていくのが礼儀だ」とFの親父に怒られた。旅館の忙しい朝の調理場で立って食べたご飯の味は忘れられない。今朝はカップラーメンを食べた。亡くなったFのオヤジを思い出した。Fが隣でカップラーメンを食べている。あの頃のオヤジの歳は越えているはずだ。
 ロッジ前で記念写真を撮って解散した。45年前にそんな写真はあろうはずもない。