一日遅れでカレンダーを11月にした。
   古暦あと一枚の裏表     未曉
 歳時記を繰っていたら「炉開き」というのがあった。我が家も一週間前くらいから暖房を入れ始めた。といっても寒さに合わせボタン一つで済む。ついいつもの癖で昔を思い出してしまう。
 10月も末になると家の前の公道に丸太が投げ捨てられるように置かれ、何日かすると大きなエンジン付き丸鋸を馬車が牽いて来る。大きなエンジン音と鋸が丸太を伐る鋭い音が暫く続くと四等分された丸太がまた道路を塞ぐように山の形に置かれる。土曜日日曜日家族総出で薪作りとなるそう言えば文化の日も多かった…。兄二人が丸太を大斧で割る。私は割られた薪を腕と顔の間に積んで運ぶ。父と母がそれを家の壁に添わせて積む。端は崩れないように井桁に組む。
 その日から、朝夕家の中の木箱に薪を運ぶことが私の仕事になる。そして父が薪ストーブの前に座り、一冬中火を燃やし続けることになる。
  炉開きと言えるやボタン三つ押し 未曉