カボチャが蔓隠元のネットに絡み付いてしまった。収穫が終わりに近づいたので妻が隠元の葉を整理した。カボチャの花が見やすいところに出てきた。隠元の支柱で大丈夫だろうか。
  日の力重力に変え花南瓜   未曉
 樺太から引き揚げて来た私達一家は叔父たちの居た歌志内に身を寄せた。父はシベリアに抑留されている。歌志内は石炭景気で賑わっておりそこで叔父たちは商店などをやっていたので他の引き揚げ者よりは恵まれて居たと思う。
 私は幼かったので記憶はほとんど無い。黄色い色で炊きあがった南瓜ご飯は覚えている。もう一つ、軍服姿で帰ってきた父が白い布きれのカーテンを開けたガラス戸の向こうに立っている姿である。今までは恵まれていたから南瓜まじりのご飯が食べられたのだろう…、物心着いたときには出征していた父に会う気恥ずかしさで記憶があるのだろうとそれぞれを思っっていた。
 この頃になって戦争や引き揚げの辛苦、シベリア抑留の悲惨さ、そして戦後の日本の困窮が分かるにつれて、この記憶の辻褄が合ってきた。
  父帰還南瓜七分に米三分   未曉