2010-05-18 ■ 季語閑語 早朝、地上57階から見える横浜の町は紫色だった。これから明け行く街だが昨夜の灯りはまだ消えていない。闇が退色したかのように紫の空気が、街の輪郭を露わにしていく。 この紫は大都会の覚めやらぬ眠りが幾層にも重なった色なのかもしれない。その眠りには間に合わない短夜が終わり、今日という時間に紫の層を剥ぎ取られて行く。 短夜の眠り大都に覚めなずむ 未曉