チリで大地震というニュースを聞いたときすぐ思い浮かべたのが50年前の光景だった。きっと報道写真で見たのだろうと思うが、函館港の海水と大森浜の海水が今の大手町のあたりで繋がり、函館が二つに分断された光景である。父の役所がそのど真ん中にあり状況を父から聞いたような記憶もある。
 つまり、チリの地震は函館に響くという記憶である。
 今日は一日テレビの津波情報の中にいた。それに加え、身内に避難勧告対象に住む者もいてその情報収集や心配なども交錯する一日だった。
 各地の漁港の状況が定点観測的に繰り返し放映されていた。急速に岸壁を浸食する海水、カモメが止まっていた足を洗われあわてて飛び上がる。次には舫っている漁船を50?引き下ろす海面。その静かで規則正しいうねり方が恐怖を感じさせる。それが津波警報が発せられてから一人の人物も映らない漁港で繰り返されていた。
 1万7千Km向こうで起きた地震で、5m隆起し2m沈降した海底の影響が及ぼした津波だという。その震源に住む被災者の悲劇よりも津波の方が速く届いた。
   チリ津波雪に届いて鎮まれり   未曉