季語閑語

:[季語閑語]
 「母べぇ」を観た。山田洋次監督作品である。
 山田監督が取り上げる人物に共通しているのは、時代なんかに変えられようのない「頑固さ」をもっていることだ。その頑固さゆえに惹きおこされるおかしさや哀しさは市井のものである。「寅さん」の映画を劇場で他の観客と一緒に笑いながら観る楽しさがそこにある。もう一点私が共感できるのが、歴史を動かしてきたのは市民であると言う視点だ。歴史を動かしてきたのは決して偉人ではない。英雄でもない。おかしき頑固、哀しき頑固さを持つ市民だけが歴史をゆっくり静かに動かす力を持っている…。そしてその市民のパワーを抹殺してしまう戦争を否定する。
     子が届く氷柱となりて下校待つ   未曉