レクの森の外れに沢の水を堰き止めて灌漑池がある。空がそのまま映っている。本当の空と水面の空の間をルリボシ蜻蛉が忙しく飛び交っている。虫を追うもの、番で飛ぶもの、尾を水に打ち付けて産卵するもの…。産卵する蜻蛉に空の見分けは着いているのだろうか。もしかしたら本当の空に卵を産み付けていると思っているのかもしれない。ルリボシ蜻蛉にはその願いの方が似つかわしい。
  空に産むごとく水撃つ青蜻蛉   未曉
 森の中は暗い。草が茂るといっそう暗い。そんなところにサーモンピンクのミズヒキソウが咲いている。云われて花を返してみる。花の部分に白いところが見える。だからミズヒキというのだそうだ。
  ミズヒキや草暗がりの黙縛る   未曉