一昨年雄鉾岳に登った仲間が再会し食事会をした。五人それぞれが異なったアプローチで山や自然を愛している。もちろん私のものが最も細く危なっかしい。でも様々な話が飛び交って楽しいひとときだった。
 その後、熱帯植物園の蛍を見に行った。校長時代に学校あげて蛍を育てていた人が、植物園内に蛍コーナーを作って飼育したものである。先日から夜時間を決めて鑑賞させてもらえるようになった。
 私は蛍体験が少ない。子どもの頃あったらしいけれど覚えていないし、沼田町の飼育施設で見たのも十年以上も前で感動は薄れている。期待して行ったが今日は蛍の調子が悪いとかで四、五頭見られただけだった。俳句にしようと歳時記だけは読んでいったので飛んでくれた一頭に思いを託することにした。
 見る人の数の方が圧倒的に多い。みんなが一頭の蛍が光るたびに歓声をあげる。つい、寅さん映画の映画館を思い出した。奇妙な一体感が懐かしい。
  歓声を繋ぐ飛跡や蛍の夜    未曉
 蛹から孵って二週間の命だそうだ。その間に異性を求める思いのこもった光の点滅を続ける姿を「恋蛍」とする季語がある。
  明滅の滅の深きや恋蛍     未曉
 蝦夷梅雨模様の空だったが良い夜だった。