完成

takasare2009-04-14

 完成した。予定の4月1日に遅れること二週間である。まぁ4月1日に出来なければ誰かが困るとか、世の中のどこかに影響が及ぶとか言うものでもないのでどうってことはない。その証拠に、一本の電話もかかってこない。ただ、作った者の成就感を満たすために出来上がった縮刷版は山の手編集室に10部だけ運ばれてきた。
 うす緑色の表紙が見える。いつもの8人の目が注がれる。一瞬、高校時代刷り上がったばかりの「青雲時報」をみんなで見守った場面を思い出した。そういえば病気で一年留年、浪人で一年、5年間も新聞局につながっていた私にすればその時々、今ここにいる誰かと一緒だった。この縮刷版づくりの時々で感じた50年を超えたタイムスリップ感である。手にしてすぐ自分が手がけたグラビアを見た。やはりいい。良いことの大部分はカラー写真の持つ迫力である。私のレイアウト効果ではないがうれしい。次に縮刷ページを開いた。校正刷りで見慣れた白い眩しい紙ではない。少しクリームがかった紙色が青雲時報の紙面を落ち着かせている。古さイコールセピアにつながる読者に優しい仕上がりになっている。これもまたうれしい。さらにめくろうとすると裏表紙に張り込まれたCDの堅さに惹かれる…。
 前回の縮刷版づくりから30年。コンピューターを中心とした技術革新がこの編集作業を支えてくれたという実感と、このできあがりの良さももたらしてくれたことは言うまでもない。しかし、このメンバーでの「作るか」「作るべし」という少し軽はずみだけれども「若さ」「友情」「青雲時報に寄せる気持ち」という原動力は変わらないし、年をとった分思いは強いかもしれない。
 その「思い」にみんながそれぞれ浸っていた。