七飯岳・岩場から

 暖気の後にしばれたからだろう、固く締まった雪が体を支えてくれるので歩きやすい。石切場の端を過ぎ、七飯岳の牧場斜面にぶつかる尾根筋はラッセルの必要もなく今まででもっとも登りやすかった。しかし、三ヶ月振りの山歩きでペースを忘れたのか速くなってしまいつらさもひとしおのの歩きでもあった。尾根突き当たりの壁を越えると、牧場の大斜面が頂上まで続いている。いつもなら直登なので何回休むことになるだろうと覚悟を決めた頃、Yamaさんが、先行者の足跡を辿ろうと言う。足跡は、頂上部分を巻くようにトラバースして行く。どうやら、頂上部東端にある岩場から登らしい。向に横津岳を見る絶好のビューポイントで、いつもは頂上を踏んだ後に昼飯を食べる場所である。トラバース路から岩場直下までは少し苦しかったが、垂直10メートルくらいの岩場は、Yamaさんがステップをきってくれたので写真を撮りながら階段を上るように登ってしまった。雪質にも夜だろうが、この時期の登りはこのコースに限ると思った。同じ頂上に行くにも雪を読みコースを読むことで全く違う登りになることが分かった。いつもとは逆に、今日は新しい頂上標識の側で握り飯を食べた。そして帰りは滑ったわけではないが直降で大斜面を降りた。