売る

 もともと私には「売る」という行為を嫌がる傾向にある。ましてや売って利益を得ると言う才覚はゼロだと思っている。
 縮刷版作りも未だ編集作業が終わったわけではないが、原稿締め切りも設定され、見通しが付いた。函館新聞北海道新聞両紙で報道されて予約申し込みが入ってくるようになるとと、編集会議が販売モードになってきた。「グラビアはカラー印刷の方がいい」とか、その結果「CDをDVDにしなければならなくなった」とか、あちこちの企画で頁が増えたりなどもして、厳しい予算をさらに窮屈にする「行け行けどんどん」編集の後始末を「完売」と言う形でしなければならなくなった。
 「増刷して売ればいいべや」と営業音痴の私が云うと、今回の縮刷版は青雲同窓会の支援金をコストに反映させているから(増刷分には支援金を反映させるわけにはいかないから)増刷すればするほど赤字が増えるのだそうだ。「どうやって売るのよ」と営業不適格者が首筋の涼しさを覚えると、同期会や各地の同窓会にチラシをばらまくぞとか、職場にいる卒業生を核に広げてもらおうとして同窓会名簿をコピーしてきたとか、前向きのアイデアがどんどん出てくる。頼もしげな仲間を見ていると首筋にまた暖かみが戻ってくる。
 連絡先になっているUの携帯に予約申し込みの電話が入ってきた。「売る」というより「いい本だから手にして」と考えれば私にも出来ることはありそうだ。