椴法華へ行くとき汐泊川の河口に水鳥がいた。コクガンではないだろうか(その日の夕刊に志海苔川でのコクガンの記事があったからたぶんそうだろう)海の波も穏やかだったし、潮の具合もあったのか河口付近は全く水は動いていなかった。寒さの中で鉛を敷き詰めたような水だった。その中を雁も動いているのかいないのかわからないほどに漂っている。動こうにも水が重くて動けないとでも言いたげだ。もちろん波紋も無い。
  寒雁や海に背を向け北を恋ふ  未曉
  寒雁や鉛の水に影ばかり    未曉