小鉾岳・再訪

 4年前の9月に登って以来の再訪登山である。普段登っている山はほとんどが2回目3回目の山である。小鉾岳を再訪とわざわざ言うのは行きたかった山だからである。なぜかわからないが先日Yamaさんから「どこか行きたい山ある?」と訊かれて答えた山である。思い出すことといえば、退職した年YamaさんWakaさんと三人で行ったこと。帰りに登山口でWakaさんがコクワの実を採りだし結局三人でわいわい言いながら楽しんだこと。その直後、乗ってきたWakaさんの車のライトが付けっ放しだったらしくエンジンがかからず、林道を舗装道路まで車を押し、酪農家まで歩いてバッテリーケーブルを借りてやっと帰途に付けたことである。特に登りたい理由と結びつくものは無い。
 この山は尾根の末端が登山口になっており、頂上までほとんど逸れることなく尾根を歩いて行く。山腹をジグを切って登るような道ではないので急登である。特に登りだして直ぐその急登は始まる。あのWakaさんが記録に「けっこうきつい登りである」と書いているほどの登りである。今日も登り始めは辛い。いつものように花撮影タイムに助けられながら登っていた。そして気がついた。
 たしかに急登の尾根歩きだが、コース全体を見れば階段状になっているのである。あえぎながらも登って行けば、平らな所にたどり着く。下るわけではない。アップダウンと言うのは精神的に疲労させられるが、平坦はいい。短い所では5メートルくらいのものだが、その間息を整え、ふーっとため息でもつければまた登れる。私は体重があるからか直ぐ足や尻が痛くなるが、少しの休憩でまた登れる性質でもある。「休み」と言わなくても自然に私的に休めるこの山道が私に適しているのである。私が好印象を持っていたのはどうもこの辺にあるらしい。4年間いろんな山に登らせてもらって、私の中に私に適している「山」が出来つつあるのかもしれない。
 4年前は2時間で登っている。今日は2時間半で登っている。その30分間は花撮影である。写している花の名を覚え、それを楽しむことを覚えたのも4年間の私の山道楽の成長点だろうと思う。貴重な花の蕾を見せてもらった。咲くのは7月だろうと言うことだ。今度は花に惹かれて再再訪と言うことになるかもしれない。