季題「卯浪」
 女那川を過ぎて昔砂鉄を掘った岬を回ると恵山が見える。道路の下の小さな入江に寄せる波は少し大きく感じる。ゆったり押し寄せてきて巌にぶつかり戦い敗れたように砕ける。しかし、遠く恵山岬に届いた浪はそのスケールの対比からまるでじゃれ遊んでいるような優しさを感じる。それが卯浪なのだろう。
  巌を撃ち岬にまとはる卯浪かな   未曉
 浜に若い漁師もいる。
  胴長のまだ身に付かぬ卯浪かな   未曉