屯屯・札幌市

 地図で辺りをつけたとおりの所に屯屯はあった。行灯のような看板はあったが入り口は得体の知れない雰囲気でどうも蕎麦屋らしくない。今はいろいろな考えで建てられるから一応入り口の前に立ってみるがどうも違う。しかし、看板はこの入り口を教えてくれている。念のため角を曲がってみた。あった。地下鉄を降りて歩いてきたお客山ようにあの行灯はあるようだ。どうせなら曲がることを教えてくれる表示があってもよさそうだが…。
 暖簾はそれっぽいが周りのごてごてした感じが昼の光の中では逆にうらさびしい。引き戸一枚ですぐ店。左のほうに調理場があり、右にテーブルが4っつ。私は厨房と店のしきりに附けられたカウンターのような所に座った。前は簾、低い所に棚があり手作り感溢れる焼き物が並べられている。
 せいろを頼んだ。ぱきぱきとした蕎麦である。つなぎの粉のせいだろうか。蕎麦は美味しいほうだと思うが、歯ざわりにしっとり感が欠ける。付けつゆは甘めでこの蕎麦には合っているような気がした。甘い割りにつゆが少なく、蕎麦湯を楽しむだけのゆとりが無かった。半信半疑だったけれどかけそばを追加した。
 先客が二人いた。どちらも女性で、どちらも一人客である。テーブルを一つづつ使って蕎麦と言うより食事しているという雰囲気で食べている。この店を知った本によると、インド人仕込のカレーとかメニューが多く、若者が多く訪れる店という。夜も賑わうらしい。すると、入り口の構えもうなづける。
 かけ蕎麦は大正解だった。美味しい。パキパキ感がかけつゆの中で柔らかさを得て、口当たりや歯ざわりを良くしている。蕎麦が生き返ったように蕎麦の味を出している。お勧めの蕎麦である。新蕎麦の頃はもっと香りが立った蕎麦を楽しめるかもしれない。
 きっと、わいわいみんなと飲んだ後に蕎麦で締めて終わろうというコンセプトの店なのだろう。