蝦夷松山・雁皮山 変化に富む

takasare2007-06-20

 まず、石仏が並ぶ緩やかな勾配の木の下道を歩く。二、三人並んで歩けた道が知らぬ間に狭くなり知らぬ間に山道になっていく。里山の感じで植林があったり、作業の痕跡があったりまだ人の気配がする。ぬかるみがあり、所々には急勾配もある。山も奥に入ってきた。息も上がってきた。気持ちのいい土の感触を楽しみながら登山気分満喫である。ここは右側の低い尾根をちょっと越えるとゴルフ場が広がっているのだが、気分がそがれるのでいつもそれを考えないで登ることにしている。
 蝦夷松山直下まではやわらかい土の上を歩くがそれを過ぎると崖状の斜面に取り付く。道は道というより足がかりである。岩があり大岩があり木の根がある。岩も木の根も油断すると滑る。大きな岩は私が足を上げても届かない。小さな手がかり足ががりでは私の体重を私自身が支えられない。普段は草も木も大切にしているがこのときばかりは草も言っていられない。すまないと思いつつ傍の木の幹をつかんで体を引っ張りあげる。垂らされているロープで岩に足を踏ん張る。さっきまでの土の道が嘘のような緊張の登りが楽しい。断っておくが、山に登る普通の人にはなんでもない道である。しかし私にはちょうどよい緊張感なのだ。
 蝦夷松山の頂上は、岩峰である。雁皮山から伸びる尾根の終わりが舳先のように函館の街に突き出ている。大きな岩が4〜5個寄り集まっている。岩の上に座り、もたれかかって函館の街を眺めるのはとてもいい気分だ。そこからは細かなアップダウmmが連続する尾根道で、岩と木の根の間に足の置き場を探して辿るような細い道が続く。周りは樹林なので景色はまったく見えない。両手をいつでも使えるようにしておいて樹をつかみ岩で支えてもらいながら登るとリズムが出てきてしまう。調子に乗ってそのリズムで歩いていると折角咲いてくれている花を見逃してしまったりする。
 雁皮山への最後の登りは急斜面だが、笹の中の土の道で頂上を目指して一歩ずつ踏みしめて登る。頂上は8畳ほどの草原になっていて東側の展望が開けている。
 この山は面白い。小さな割に変化に富んでいる。4.5時間くらいの登りの中にいろんな要素が入っている。足が踏みしめるものや手で掴む物の多様性が豊かなのである。ある意味全身で登る山なのである。