残雪のアメダス口

 車は赤井川と黒井川の合流点からすぐ上流で止められた。残雪が道を覆い、そこを突っ切ったトラックの轍がうねっていた。つぼ足で歩いた。足が埋まったり滑ったりで疲れる歩きになる。足元が不安定なので体が揺れてこれも不快の因となる。所々に蕗の薹の黄緑色があり、日当たりのいい所の斜面が見えていて春は感じる。しかしまだまだ厚い残雪の上を吹いてくる風は冷たい。
 歩くだけでアメダス口に届いてしまった。入り口に雪は無かったものの、すぐ現れた雪は、そのまま途切れることなく続いている。そのうち道もわからなくなった。Yaさんの記憶と読みだけで辿る。今、Saさんの掲示板で話題の黒文字の木を見つけたぐらいで黙々とつぼ足を運んだ。少し迂回した形になったがWaさんの袴腰岳への黄色い表示板を見つけた。
 いつも車を停める第2登山口も雪は多く、一週間程度のものではないような気がした。様子伺いに一つ目のトラバースまで登ったが、やはり雪が多くそこを今日の到達点として戻った。
 帰りアメダス口からの林道を歩きながら雪解け水が流れる道路際の蕗の薹を撮りながら三人で後になり先になって帰った。まだ花が開かない美味しそうな蕗の薹をより取り見取り採った。汚れた雪が張り付いている斜面を去年の枯葉がカンバスに模様を描くように渦を巻いて走り回っていた。