西桔梗「磯屋」

 開店した早々に入ったことがある。すでに本欄の一ページになっているかと思ったが、バックナンバーには見当たらない。その時の印象が薄かったのかどうかもう一度入らなければと思っていた店である。産業道路が立派になる前、亀田農協から宇治園を通り大野新道と交叉し水産高校から七重浜まで一直線に貫いていた道路の宇治園裏にある。自家挽き製粉で手打ちをうたっている。
 土曜日の12時、家族連れが一組個上がりのテーブルを囲んでいる。明るい店内で場所柄か、ファミリー狙いのようなコンセプトかもしれない。頼んだもり蕎麦が団子のように盛られ、周りのすのこが見えていた。水から上げてそのまますのこに置いた感じである。つなぎを使っていないのか蕎麦が短く切れている。これではゆでるときも、水で締める時もあまり触れないだろうと思った。盛り付けるときも宗だろう。ぬめりが取れていないし、水切れも不十分だ。箸で採ろうとしてもほぐれない。蕎麦の表面は濡れていて離れやすいように思えるがくっついてしまう。ぬめりを残しているのだろう。ホシも多く黒い蕎麦だ。香りはまずまずだが、口ざわり舌触りが良くない。田舎蕎麦のボソボソ感がもったり感に変わってしまっている。私の好みではない。つゆも甘くいつのまにか蕎麦をどっぷりつけて食べていた。
 つなぎの少ない、それだけにのび易い、切れやすい蕎麦なのかもしれない。少しかけ蕎麦が気になった。この蕎麦がどんな風になるのか少し心配だが今度挑戦してみよう。550円