函館山

 寿美子さんが開校記念日で休みなので、曰くトレーニングトレッキングとして函館山に向かった。宮の森コースを通って七曲口に着いたのが9時半だった。早いせいもあるが、いつもなら散歩の人が絶えないこの辺りに誰も人影が無い。雨こそ降っていないが山の上半分が海霧に隠れているこの天気のせいだろう。雨以来この海霧かぶりが続いているため登山道が滑りやすくなっている。小鳥の声に迎えられ、カラスの声に追い立てられ、霧に閉ざされて登る。花もきれいだが、今を盛りの葉が霧に濡れて輝いているのも美しい。
 七曲を登りきった。電波塔の所では保守管理の人がこれから塔に登ろうとしていた。足場が濡れて危険だろうなと思ったが彼らは淡々としていた。千畳敷では、トイレ周りの草を刈っていた。霧の中だからではないが、人知れず働いている人がいた。今日はトレーニングトレッキングなので、このまま〓山道を下るのでは物足りないので、作業車道から観音コースを舟見町のほうに下ることにした。歩いている人は男女一人ずつ。作業車道にはタニウツギが霧の中に濃いピンクを際立たせていた。
  砲台跡の所の駐車場に着き、頂上には目もくれず(目をやっても見えないが)そのまま観音コースを折り始めた。足元が慎重になったのがわかったのか「お父さんの目焦点があいにくいの?」と聞いてきた。確かに細かな部分では焦点が合わないが、もともとの臆病さが滑る道を意識しすぎているに過ぎない。霧が無く街が見下ろせる高さまで下りて、気持ちは一息ついたが、そのまま休まず下りきった。最後は、道が枝分かれをしていて適当な道を選んだら、称名寺の墓地に入ってしまった。11時半。函館山管理事務所まで、観光客の中をリュックを背負って歩いた。途中、水元公園の最上部のベンチで町を見下ろし、ロープウェイのゴンドラに見下ろされながら握り飯を食べた。駐車場にはいつもの数はなかった。この天気のおかげで静かなトレッキングができた。谷地頭温泉を出る頃には今日の疲れをほとんど感じることが無かった。天気のせいかもしれない。