「さらしなそば山田屋」湯の里

takasare2006-04-28

 千軒蕎麦を食べるため、空腹をこらえて江差から松前を回ってきたのに定休日だった。空腹も限界になると、頭が食うことにフル回転し、結果湯の里の山の中の蕎麦を思い出した。前にも一回食べているが、味を確かめておこうと思って看板で曲がった。山の中と言っても国道から100mと言うところだ。かやぶきの小屋で居住部はない。
 車を止めると男の人が出てきた。それとなく様子を見られているようだ。かまわず中に入るとばあさんが山菜の始末をしている。
 いらっしゃい。これかい?わたしたちしろっていうよ。お客さんたち言わないかい?どこでも好きなとこに座って。何食べるの?うちは山菜そばがおいしいよ。あれ?もりとあったかいそばって前に来なかったかい?とあさつきのゴミ取りの手を休めることなくそしてしゃべりも休むことはなかった。調理場にばあさんが入った頃、中年の女性が一人入ってきた。次にその人が喋りのターゲットになり私はゆっくりできた。入り口の正面が調理場。その手前にまきストーブがあり、右手に小上がりがあって炉が切られている。左側には、丸太の椅子に囲まれた丸太作りの大卓がある。天井は吹き抜けで屋根の隙間から空が見える。頭の上にあるものは全てすすで真っ黒である。
 もり蕎麦が手桶風の入れ物に入ってきた。一箸つまむと味も香りも強烈に口に広がる。たれは味が薄くしょうゆ味が好きな私にはせっかくの蕎麦が生かされていないような気がしてもったいない。ばあさんが南蛮醤油をたしてくれたが、やはりゆるい気がする。手桶の中にスノコがないので、終わりのほうは水で濡れ濡れの蕎麦を食うことになってしまっていた。 山菜蕎麦は関西風の出しにこごみ、うど、根曲がり筍が入っていた。山菜は美味しかったが、ここでも物足りなさを感じてしまった。
 後から来た女性は、ばあさんのおしゃべりにうんざりしたのか黙ってしまった。その後顔なじみらしい夫婦が来て話しはそっちに向けられた。ぜひ、しっかりしたたれや汁で食べてみたい蕎麦である。