横津岳(雪)

takasare2006-04-10

  今シーズンはスキー場が閉鎖されたため閉まっていたふもとのゲートが今日オープンするとのこと。そのゲート前に行くと丁度、ゲートが撤去されたところだった。冬タイヤを履いていた工藤さんの車に載せてもらって空いたばかりの道路を登った。昨年暮れは、この車道を歩いて登った。スキー場近くの路上に少し雪は乗っていたが夏タイヤでも問題なさそうだった。
 うす曇で無風、見下ろす函館の町は上空の冷気に押さえ込まれたかのようにスモッグの中に沈んでいる。春霞の明るさが無い。ゲレンデを登る。山谷さん工藤さんはスキーを履いたが、私は航空管理局の雪上車のトレイルをツボ足で登った。ゲレンデを登ると言うことは直登すると言うことで、すぐ息が上がってしまう。話に足を止めたり、函館の町を振り返り見ながらゆっくり歩を進めた。
 リフト折り場まで登っていよいよ林間歩きを楽しむ段階でトラブった。私のスノーシューのバンドに止め具が無いのである。たまたまスノーシューをザックにくくりつけていたバンドでぐるぐる巻きにして固定し歩けそうにはなった。雪面の状態はムラガ多く、歩きやすさもそれに左右される。一回凍った面に濡れ雪がのっかった所は、表層だけが滑って登れないし下りも足をあらぬ方向へ持っていかれる。
 しかし、歩いているところはスキー場上部から烏帽子岳頂上に引いた直線のうえである。夏は、歩くことなど考え付かないダケカンバや笹の上である。雪が無ければ空中部分を歩いてさえいる。横津の航空管理局のアンテナが左方遠くにある。遠かった烏帽子岳がぐんぐん近づく。二人は、スキーなので、一歩一歩滑らせることができて速いが、マイペースで進む一ヶ月前はきっと樹氷になっていただろう、ダケカンバの低木が、今まさに、雪の重圧を撥ね退けようと枝を丸めている。
 途中何度かバンドが緩んだが、最終山谷さんに手伝ってもらった結びが効いて烏帽子の
頂上に着いた。袴腰の左に夏登った泣面山が特徴的な姿を見せている。ここからの駒ケ岳のアングルも好きだ。一人スキーで登ってきた。山谷さんの従兄弟だった。こういうことが好きな血筋らしい。
 風も無く寒くない。気持ちよく昼を食べた。帰りは広い節減を思い思いに楽しむように滑り歩いた。ゲレンデ近くまで来ると、山谷さんの従兄弟が林間を縫うように滑って行った。
二人はゲレンデ脇を滑り下り、私は、ゲレンデ中央を孤独な王様のように歩き下った。