紅葉

色変へて何時紅葉せむ我が言葉 未曉

秋冷

秋冷やベッドガードに触れ目覚む 未曉

秋夕焼

夕焼けて紅葉葉栞る誕生月 未曉

十月

十月を和綴じ句帳に紙縒紐 未曉

黄落

逆上がり黄落空へ蹴り戻す 未曉

南瓜寝かす濃淡の無く秋闌けて 未曉

秋の野

人と人の間にコロナや秋の野や 未曉

草の実

草の実の紅花の時白きほど 未曉

秋の水

胸底に病葉沈め秋の水 未曉

紅葉

雨晴れて山に膨るる紅葉かな 未曉

秋の暮

ぶらんこを漕ぐ大人いて秋の暮 未曉

胡桃

壊せても割れぬ別れや山胡桃 未曉

稲刈

脱穀米空に吐かせて稲刈機 未曉

黄落

黄落や子等の大きな背番号 未曉

菊膾

病床を過ぎる一食菊膾 未曉

人里のすぐそばにある熊の冬 未曉

臭木の実

臭木の実むかし市境古峠 未曉

秋の日

リハビリの部屋にかけ声秋日差し 未曉

冬へ走る親子ジョギング親が前 未曉

秋の虹

秋天の虹たちまちのエタノール 未曉

新米

新米の食味比べやスーツ着て 未曉

銀杏

銀杏公園に入る乳母車金色に 未曉

秋の暮

病葉の土を求めて秋の暮 未曉

冬となり

冬こぼるる端山空裂く隙間より 未曉

冬となり

稜線の北は手ぐすね冬隣 未曉

私は母が逝った年齢74歳と父が逝った年齢84歳を越えるべき二つの嶺として意識してきた。母の嶺は念のためと切除した大腸ポリープが調べたら癌化していたという幸運の内に越えることができた。次は84歳の嶺である。しかしその道は平坦な道ではなかった…

紅葉

非常口に病葉来たり紅葉す 未曉

落穂

田に沈み落ち穂でつなぐ鳥の旅 未曉

秋風

秋風や左の手足薄薄と 未曉

十六夜

十六夜の夜半に届かぬ高さかな 未曉