身ぶるうて雪払ひたり街の朝 未曉
煮凝りに骨鰭のあり厨朝 未曉
病室を洩れる湯気音ハーブの香 未曉
雪催い迷いかもめに海遠く 未曉
湯豆腐の豆腐ばかりや笛吹童子 未曉
目張りして早黄ばみけり今年かな 未曉
すべり台銀杏落葉のよこはいり 未曉
退院日暦に決まり蜜柑剥く 未曉
裸木や人に根の無き危ふさよ 未曉
ねんねこや民謡土を失うて 未曉
コンビニも昨日も遠し夜半時雨 未曉
リハビリに換気の風や冬ぬくし 未曉
残る葉に横殴りして冬の雨 未曉
焼き芋も思い出もまず二つ折り 未曉
小六月もっと良きことできそうな 未曉
冬初め公園遊具俺一人 未曉
入り日深く黄葉の影暗く長く 未曉
霜深く文字盤のごと円型ベンチ 未曉
黄落の急ぐ光陰なほ迅し 未曉
凍し夜の壁に絶えなしナースコール 未曉
初雪に子ら餌を受ける雛の口 未曉
冬来る北へ向かわん悴みて 未曉
冬ざれや日々八錠でながらえて 未曉
ナースコール無く壁眠る雪の夜 未曉
立冬や手塩強めに月日漬け 未曉
ため息を放射冷却霜の朝 未曉
悪人もあいさつ冬の話して 未曉
ためろふてきたり雨雪にしん漬け 未曉
生かされてデータの一人文化の日 未曉
古暦画鋲新たにコロナの日々 未曉