明け易の朝ブラインドを上げると一軒おいた家の藤棚が見える。たわわに藤房が垂れ、万朶の藤色がまだ開けやらぬ中白く見える。しかしこの満開の藤を主は見たことがない。東京の人で毎年夏の間だけ奥さんの故郷の函館で過ごすためにくる。六月でなければ来函…
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